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9月16日~知らず知らずのうちに…
親竹が新芽を伸ばし、若葉を茂らせるこの季節を「竹春」とか「竹の春」といいます。
さて、健康のために毎朝四時半くらいから一時間ほどジョギングをするようにしていますが、最近は夜明けがめっきり遅くなり、この時間帯はまだ真っ暗です。
近くの公園の広い駐車場を走るのですが、走っているうちに自分自身のある特徴に気づきます。
とても広い駐車場を、端から端まで行ったり来たりするのですが、私がまっすぐに走ろうと思っても、目指す方向に大きな木や標識、あるいは地面に引いた白線など、何かの目印がないとなかなかまっすぐには走れません。
また、目印を目標にして走っていても、、夜空の星に少し目を向けるだけで、すぐに曲がって走ってしまいます。
また、まっすぐに走っているつもりでも、何か考え事をした少しの間に、知らず知らずのうちに曲がって走っています。
広い土地をまっすぐに走るには、目標をまっすぐ見すえて、脇目をせずに、集中して走らなければ難しいですし、さらに、周囲がしっかりと確認できる光がないと難しいことに気づかされます。
人間の体もそうかもしれませんが、心や考え方も同様かもしれません。
自分は正しい、間違いがない、自分の考え方は確かだと思って生活をしていても、知らず知らずのうちに、その心は独りよがりになり、さまざまな情報や影響を受けて、その考え方は大きく曲がっているのかもしれません。
人間の体も心も考え方も、正しい指標、まことの教えを持ち、さらに、物事を正しく確認できる光がなければ、まっすぐに、正しく進むことができません。
九月は秋の彼岸の季節です。日ごろの忙しい手を少し休めて、仏さまの教えに耳を傾けて、自分自身の普段の生き方を省みることはとても大切なことです。
どうぞ、お寺にお参りください。
9月16日~知らず知らずのうちに… | 2023年09月17日【436】
9月1日~自分を創る責任者
九月に入り、いつの間にかセミの声が虫の声に変わりました。
さて、最近お葬儀にお参りに行くときに、そのお亡くなりになったお方が過ごされた日数を数えていくことにしています。
通常そのお方が生きた年数を享年としますが、日数で示すと人生に対する味わいが、少しまた違うような気がするからです。
例えば、誕生日とご命日がたまたま同じ日になったと仮定して、享年七十歳の方は25,202日。享年八十歳の方は28,854日。享年九十歳の方は32,507日となります。
今七十歳の方が、私はあと十年くらいは生きるだろうと思っていても、日数で見るとあと3,652日しかありません。
一年365日はあっという間に過ぎてしまいますから、それが十回過ぎたらお別れです。
人生時計という見方もあります。十二時間計を、人生が八十年と仮定して、五十歳の人は37分30秒、六十歳は45分、七十歳は52分30秒となります。
こういう私も還暦はとうに過ぎましたので、残りはあと十数分しかありませんし、さらに大切なことは、命の問題はいつどのようなときに、どのような終焉が来るかわからないということです。
お寺の住職で、教育者としても大変高名だった東井義雄先生は、「自分は自分の主人公、世界でただひとりの自分を創っていく責任者」と言われました。
人生は一日一日の積み重ねです。自分を創っていく責任者としてあと残された一日一日ををどのように過ごしましょうか。そして、いつか近い将来に来る自分の終焉にそなえて、自分はどこに向かうか、はっきりと答えることができるでしょうか。
日ごろの忙しい手を少し休めて、そのことを見つめるのがお彼岸で大切ことです。どんなに年を取っても年に二回、この行事が必ずやってくるのはとても有り難いことです。
9月1日~自分を創る責任者 | 2023年09月02日【435】
8月16日~どっちが大切なの?
今年もお盆のお参りが終わりました。
さて先日、こども園で、年長児の男の子が先生に質問したそうです。
「先生はいつも、『先生のお話をよく聞くことが大切ですよ』と言ったり、『みんなのいのちは大切ですよ』と僕たちに話したりするけど、お話を聞くことと、いのちと、どっちが大切なの」
先生のお話をよく聞いている子どもでしょう。いい質問です。
その質問に対して先生は、お釈迦さまの前世の物語から一話、お話ししたそうです。
むかし、お釈迦さまは、サルの王様として、たくさんのサルたちと大きな森の中で暮らしていました。森の中には、恐ろしい鬼が住んでいたので、常々十分気をつけるようにと、サルたちに話をしていました。
ある日のこと、サルたちは、森の奥できれいな池を見つけて、その水を飲もうとしましたが、王様の教えを思い出して、王様が来るのを待っていました。
池に到着した王様は、その池を見回して、池に降りていく足跡はたくさんあるのに、池から上がってくる足跡が一つもないのに気がつき、この池に入ったら、出てこられないと思い、サルたちに水を飲ませませんでした。
すると、池の中から恐ろしい姿の鬼が出てきて、「早く池に入って水を飲め」と誘いました。サルを捕まえて食べてしまうつもりです。
サルの王様は、池の淵に生えている葦をぬいて、その先を水面に入れて、水を飲むことをサルたちに教えました。
サルたちは王様の教えをよく聞いて、その通りにして水を飲むことができました。
お陰で一匹も鬼につかまることはありませんでした。
こども園の先生は、このお話をして、「皆さん一人ひとりのいのちは大切です」、そして、「先生のお話を聞くことも大切ですよ」と、あらためてお話ししたそうです。
8月16日~どっちが大切なの? | 2023年08月16日【434】