こころの電話

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12月16日~やがて務めを終えるときに…

 年末とは思えないほどの暖かな日が続きます。

 さて、先月末、人形供養法要に出向きました。会場には、ご本尊の回りにさまざまな人形が供えられ、その前でお勤めをしました。

 子どもの健やかな成長を願って求めた兜の人形や雛人形。旅行からのお土産や記念でしょう。地方色豊かな日本人形や西洋からの人形。ゲーム機で取ったのでしょうか、キャラクターや動物の小さな人形から大きなぬいぐるみまで。私たちの生活の場で、あるときは人々にやすらぎを与え、あるときは幼い子どもたちに微笑みを与え、あるときは人々の心に癒やしを与え、その務めを終えたたくさんの人形たちの感謝のご法要でした。

 私たちは普段、たくさんのモノによって生活を支えられていますが、そのモノたちが務めを終えたとき、感謝の心で処分をしているでしょうか。

 例えば下着や靴下や洋服など。毎日私たちの汗にまみれて、何回も何回も洗濯機でもみくちゃにされて、やがて務めを終えていきます。その時に、感謝の思いで手を合わせているでしょうか。

 時折、お寺に新車を求めたのでお勤めをしてくださいと来られ、お寺ではお祓いはしませんから、仏式での意義を伝えてお勤めしますが、逆に下取車を出すときに手を合わせて見送っているでしょうか。

 雨風をしのぎ、仕事やレジャーのために奔走し、いよいよ古くなって売られていくとき、感謝の思いで見送っているでしょうか。

 身の回りのモノは、すべて私の毎日を支えるものではありますが、その陰には多くの人々がかかわっていることも忘れてはなりません。

 年末に当たり、この一年、私の日暮らしを支えてくれたすべてのモノと人に感謝をし、合掌とともに過ごしたいと思います。

 今年一年、覺照寺心の電話をお聞きいただき誠にありがとうございました。

 令和六年は、元旦の朝、内容が変わります。皆さま和やかなお年をお迎えください。

12月16日~やがて務めを終えるときに…2023年12月16日【442】

12月1日~自分を偽らない生き方

 いよいよ今年もあと一月となりました。

 さて、先月下旬、ご門徒の方々と一緒に、鹿児島市の宝山ホールで行われた前進座特別講演『花こぶし 親鸞聖人と恵信尼さま』の観劇に行きました。

 平安時代から鎌倉時代へ。天災や飢饉や疫病の上に戦乱の世の中、師匠である法然聖人と共に、救いを求める人々に「南無阿弥陀仏」のお念仏を広める親鸞聖人と、それを支える妻・恵信尼公の生涯を描いたものです。

 物語は、比叡山で修行をする若き頃の親鸞聖人と恵信尼公との出逢いから始まり、法然聖人との出逢い、時の権力者からの弾圧、そして越後(新潟)への流罪、関東での布教、晩年の京都での生活と、前進座の役者さん方によって見事に繰り広げられていきます。

 ふり返れば、鎌倉時代の比叡山では、妻帯というのは公然の秘密だったそうです。

 そういう状況の中で、初めて妻帯を公にされたのが親鸞聖人と言われています。

 それは、当時公には許されなかった僧侶の妻帯という行為を、自分自身の信仰体系の中で、きっちりと定着させたと言うことでありましょう。

 人間は自分の行為に矛盾があるとその行為を隠します。親鸞聖人は、僧侶である自分が妻を持つという行為が、仏さまを信仰していく人生の中で、まったく矛盾がないことが確信できたから、自然に公にできたわけす。

 聖人にとっては、僧侶として妻を持つか持たないかが問題ではなく、妻を持ってお念仏の生活ができるかできないかが問題で、そこには、妻帯をしてお念仏の道を歩むのが、一番自分を偽らない生き方だと確信があったのです。

 その親鸞聖人のご法事・報恩講法要を今月九日・土曜日と十日・日曜日にお勤めします。

 お内陣を美しくお飾りしてお勤めしますので、どうぞお誘いあわせの上、お参りください。

12月1日~自分を偽らない生き方2023年12月01日【441】

11月16日~世界で唯一の美しい風景

 急に寒さが増してきたからでしょうか、周囲ではインフルエンザの感染者が増えています。お気を付け下さい。

 さて、季節は旅行シーズンの秋ですが、先日ラジオで観光カリスマの山田桂一郎さんがインバウンド、外国から日本に旅行に来ている方々の状況について話しておられました。

 海外からの旅行者が昨年の十月に緩和されてから約一年経過し、海外からの旅行者数がコロナ禍以前の数字まで順調に回復してきて、経済的にも大きな影響を与えていることですが、観光客が増えたら増えたで、新たな課題も増えつつあることが紹介されていました。

 日本の観光地や食品、文化や魅力などの話題もありましたが、その中で山田さんが、駐日米国大使のエマニュエルさんの講演の内容を紹介されていました。

 参加者からエマニュエルさんが、日本に来て景観なども含めてもっとも印象に残ったことを質問されたとき、エマニュエルさんは、「それは富士山でも景色でもありません。黄色い帽子をかぶった子どもたちです」と答えたそうです。

 エマニュエルさんは、日本の子どもたちの通園・通学の景色が、世界に唯一の美しい風景だと言われるのです。

 日本の子どもたちは横断歩道の前で一斉に手を上げて渡ります。車は必ず止まって横断する子どもたちを見守ります。横断歩道を渡り終えた子どもたちは、運転手に向かって皆でお礼のご挨拶をします。

 あの風景はアメリカでも、欧州でも、アジアでも、世界中どこを探して見ることができないすてきな風景だと、エマニュエルさんはおっしゃったそうです。

 横断歩道を渡る子どもたちの前で車が停車するのは運転手の守るべきルールであって、言わばアタリマエのことです。しかし、それに対して感謝のお礼をする風景が世界で唯一の美しい風景とは何と素晴らしいことでしょう。そこには日本人が長い歴史の中で培ってきた「お陰さま」の教えを感じます。

 大切に守りたい日本人の教えと風景であります。

11月16日~世界で唯一の美しい風景2023年11月16日【440】

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