1月1日~ヘビを見かけたらやさしくね!
二〇二五年、令和七年、明けましておめでとうございます。本年も「覺照寺こころの電話」をよろしくお願いいたします。
さて、今年は巳年です。巳とはヘビのことですが、ヘビを好きな人もいるでしょうが、どちらかというと嫌いな人の方が多いのかもしれません。でも、今年はヘビさんの年なのです。
そのヘビさんは、仏教ではとても重要な役割を果たした生き物として今に伝えられています。
仏教を開かれたお釈迦さまは、シャカ族の王子の地位をすべて捨てて出家され、六年間の過酷な修行に取り組まれますが、悟りを得ることができずに心身が衰弱します。そして通りかかった村娘のスジャータから乳粥を施され、川で身を清めて何とか気力を取り戻し、菩提樹の下で瞑想に入り、強い意志を持ってついに悟りの境地を得ることができました。三十五歳の時です。
そのお釈迦さまが悟りを得る最後の時に、座禅をしたお釈迦さまの背後から覆いかぶさり頭を傘のように広げて屋根となり、熱い日差しや大雨からお釈迦さまを七日間お守りしたのがムチャリンダというヘビの王様です。そして七日後、仏教の教えを説くためにお釈迦さまに帰依したと伝えられます。
仏教ではこのムチャリンダは、ヘビの中の王さまとして、ナーガ王と讃えられています。
このナーガは、インドをはじめ東南アジアでは水をつかさどる神として信仰され、仏教と結びついて多くの像が造られています。
このように、ヘビはお釈迦さまを護り、仏さまの教えに帰依した生き物ですから、どうか嫌わないでください。
もし今年の夏、ヘビを見かけたらやさしく逃がしてあげてください。もしかしたらそのヘビは、お釈迦さまを助けて帰依したナーガ王・ムチャリンダの子孫かもしれませんから…。
今年もよろしくお願いいたします。
2024年12月30日【466】