10月16日~たゆまない歩みが認められて…
秋風は古くからせつなさや寂しさの象徴とされ、どこか哀愁を帯びた邦楽の律音階に似て、「律の風」とも呼ばれてきました。
さて、菩薩さまの修行の一つに「精進」がありますが、これはひたすら仏道修行に励むことを意味します。仏さまの願いにかなった善き行に励むことで、この姿を日常生活を営む私たちが学ぶと、今いのちを生きる私自身にとって、今できること、正しい行いにひたすら励むことと受け止めることができます。
今月十一日、ノルウェーのノーベル委員会は、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会・(日本被団協)に授与すると発表しました。
ノーベル委員会は被団協の方々に対し、「肉体的苦痛やつらい記憶にもかかわらず、平和への希望、関与をはぐくむために役立てることを選んだすべての被爆者をたたえたい」といたわり、そして「いつの日か、被爆者は歴史の証人ではなくなるだろう。ただ、日本の若い世代は被爆者の経験とメッセージを受け継いでいる。彼らは世界中の人々を鼓舞、教育している。人類の平和な未来の前提条件である、『核兵器のタブー』を維持する一助になっている」と、その活動を讃えました。
日本被団協の結成宣言には、「私たちの胸につもったかなしみと怒り、悩みと苦しみについてのつきることもない語り合いは、決してひとときのなぐさめや、きやすめのためではありませんでした。手をつないで決然と立ち上がるためにほかなりませんでした。世界に訴うべきは訴え、国家に求むべきは求め、自ら立ち上がり、たがいに相救う道を講ずるためでありました」と、その固い決意が述べられており、これまでのさまざまな国際会議への出席、原爆展の開催、署名活動などのたゆまない歩みが認められ、そしてその決然とした歩みが日本の新しい若い世代にまで受け継がれていることが、極めて重要だと委員会は評価しています。
ノーベル平和賞の受賞を心からお祝いすると共に、日本被団協の活動に、精進の心得を学ぶ思いでありました。
2024年10月15日【462】