最近の記事
11月16日~世界で唯一の美しい風景
急に寒さが増してきたからでしょうか、周囲ではインフルエンザの感染者が増えています。お気を付け下さい。
さて、季節は旅行シーズンの秋ですが、先日ラジオで観光カリスマの山田桂一郎さんがインバウンド、外国から日本に旅行に来ている方々の状況について話しておられました。
海外からの旅行者が昨年の十月に緩和されてから約一年経過し、海外からの旅行者数がコロナ禍以前の数字まで順調に回復してきて、経済的にも大きな影響を与えていることですが、観光客が増えたら増えたで、新たな課題も増えつつあることが紹介されていました。
日本の観光地や食品、文化や魅力などの話題もありましたが、その中で山田さんが、駐日米国大使のエマニュエルさんの講演の内容を紹介されていました。
参加者からエマニュエルさんが、日本に来て景観なども含めてもっとも印象に残ったことを質問されたとき、エマニュエルさんは、「それは富士山でも景色でもありません。黄色い帽子をかぶった子どもたちです」と答えたそうです。
エマニュエルさんは、日本の子どもたちの通園・通学の景色が、世界に唯一の美しい風景だと言われるのです。
日本の子どもたちは横断歩道の前で一斉に手を上げて渡ります。車は必ず止まって横断する子どもたちを見守ります。横断歩道を渡り終えた子どもたちは、運転手に向かって皆でお礼のご挨拶をします。
あの風景はアメリカでも、欧州でも、アジアでも、世界中どこを探して見ることができないすてきな風景だと、エマニュエルさんはおっしゃったそうです。
横断歩道を渡る子どもたちの前で車が停車するのは運転手の守るべきルールであって、言わばアタリマエのことです。しかし、それに対して感謝のお礼をする風景が世界で唯一の美しい風景とは何と素晴らしいことでしょう。そこには日本人が長い歴史の中で培ってきた「お陰さま」の教えを感じます。
大切に守りたい日本人の教えと風景であります。
11月16日~世界で唯一の美しい風景 | 2023年11月16日【440】
11月1日~人が少なくなったな~
短い秋も終盤に、虫の声もすっかり聞こえなくなりました。
さて先日、ご門徒のTさんのお宅にご法事に出向きました。お母さまの満中陰のご法要です。
いつもの通り『仏説阿弥陀経』をお勤めして、ご法話の後、会食に移りました。
すると八畳二間の会場のどこからか、「人が少なくなったな~」と声がしました。Tさんのご両親はきょうだいが多く、以前より法事となると親だけでなく、子や孫まで部屋に入らないほどたくさんの方々が集まっておられました。
次第にきょうだいも少なくなり、子どもたちは都市部に住み、しかも平日のご法事でしたので孫はおらず、先ほどの声は、昔のご法事の人数に比べると少なくなったことを言われたのです。
すると、会場のどこからかすぐさま「みんなお浄土に参ったからな~」と声が帰ってきました。
その声には、人は少なくなって寂しくはなったけど、寂しさだけではないあたたかさがありました。きっとそれは再び会える約束があるからです。
また私は、ご法話で「お念仏をいただくことの大切さ」をお話ししたのですが、それに応えるように「昔じいさんたちが、『朝起きたら南無阿弥陀仏、夕べにも南無阿弥陀仏・お念仏を大切にせえよ』と、しょっちゅう言うてたことを思い出したな~」との声が帰ってきました。
その声には、しみじみとした懐かしさとぬくもりがありました。きっとそこには、確かな教えがあるからです。
『朝起きたら南無阿弥陀仏、夕べにも南無阿弥陀仏』とは、「あなたのいのちの帰すべきところは、真実のはたらきである阿弥陀如来ですよ」ということです。
いのちの帰すべきところだからしょっちゅう言うのであり、だからお念仏は大切なのです。
まことに有り難いご法事のご縁でありました。
11月1日~人が少なくなったな~ | 2023年10月31日【439】
10月16日~お婆ちゃんは行けないじゃない
新米を仏前にお供えしました。豊の秋です。
さて前回、中秋の名月にちなんで、とんちで有名な一休さんと本願寺八代のご門主・蓮如さんのお話をしましたら、ご門徒からおもしろかったとお声をいただきましたので、今回も続いて。
一休さんが、蓮如さんにまたまた歌で問いかけました。
「極楽は 十万億土と説くならば 足腰立たぬ婆は行けまじ」
『阿弥陀経』というお経に、阿弥陀如来の極楽浄土は私たちの世界より西に十万億土離れたところにあると説かれているところに一休さん着目し、そんな遠いところであれば、足腰の立たないお婆ちゃんは行けないじゃない、と問いかけているのです。
十人に一人が八十歳以上と言われる高齢化の日本、ほとんどの人が行けません。いや、十万億土ですから若い人でもきっとたどり着けません。
それに対し蓮如さんは、歌で応えました。
「極楽は十万億土と説くなれど 近道すれば南無の一声」
確かにお経にはそう説いてはあるけど、その遠いお浄土にこちらから汗水流して行くのではありませんよ。お浄土は、南無阿弥陀仏とお念仏を申す人のところには、お浄土の主である阿弥陀さまがいつもご一緒してくださっているのですよ、と応えられました。
極楽浄土は私たちを救わんとする真実の世界であり、その真実のはたらきが私たちの目に見えるようにお姿になって現れてくださったのが、阿弥陀如来という仏さまです。
「わが名を称えよ、必ず救う」が阿弥陀如来の願いですから、私が南無阿弥陀仏と念仏申すところに、その真実のはたらきが届いているのであり、それを「近道すれば南無の一声」と言われているのです。
大切なことは弥陀の願いに素直に頷くこと。それを蓮如さんは「近道すれば」とおっしゃいました。
10月16日~お婆ちゃんは行けないじゃない | 2023年10月24日【438】