こころの電話

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8月16日~どっちが大切なの?

 今年もお盆のお参りが終わりました。

 さて先日、こども園で、年長児の男の子が先生に質問したそうです。

 「先生はいつも、『先生のお話をよく聞くことが大切ですよ』と言ったり、『みんなのいのちは大切ですよ』と僕たちに話したりするけど、お話を聞くことと、いのちと、どっちが大切なの」

 先生のお話をよく聞いている子どもでしょう。いい質問です。

 その質問に対して先生は、お釈迦さまの前世の物語から一話、お話ししたそうです。

 むかし、お釈迦さまは、サルの王様として、たくさんのサルたちと大きな森の中で暮らしていました。森の中には、恐ろしい鬼が住んでいたので、常々十分気をつけるようにと、サルたちに話をしていました。

 ある日のこと、サルたちは、森の奥できれいな池を見つけて、その水を飲もうとしましたが、王様の教えを思い出して、王様が来るのを待っていました。

 池に到着した王様は、その池を見回して、池に降りていく足跡はたくさんあるのに、池から上がってくる足跡が一つもないのに気がつき、この池に入ったら、出てこられないと思い、サルたちに水を飲ませませんでした。

 すると、池の中から恐ろしい姿の鬼が出てきて、「早く池に入って水を飲め」と誘いました。サルを捕まえて食べてしまうつもりです。

 サルの王様は、池の淵に生えている葦をぬいて、その先を水面に入れて、水を飲むことをサルたちに教えました。

 サルたちは王様の教えをよく聞いて、その通りにして水を飲むことができました。

 お陰で一匹も鬼につかまることはありませんでした。

 こども園の先生は、このお話をして、「皆さん一人ひとりのいのちは大切です」、そして、「先生のお話を聞くことも大切ですよ」と、あらためてお話ししたそうです。

8月16日~どっちが大切なの?2023年08月16日【434】

8月1日~あなたたちが今日野球ができるのは…

 連日続く猛暑、急な白雨が地面のほとぼりを冷ましてくれるようです。

 さて先日、ネットニュースで、元メジャーリーガーの高橋尚成氏さんが大リーグ時代に大変立腹した出来事が紹介されていました。

 それはある日、練習の合間に、高橋さんがグローブを大切にグラウンドに立てて置いておくと、ちょうどアメリカンフットボールのシーズンだったこともあり、米国人選手がそのグローブをボールに見立ててスタンドまで蹴り飛ばしたそうです。

 ネットには、「この野郎ってブチ切れた。日本人は道具を大切にするんだって説教したら最後は反省して謝ってきた」と書いてあり、高橋さんは「米国人は大量生産の国なので、何でも常にもらえると思っている」と話し、同じ大リーグで活躍したイチローさんにも同様なことがあったと話しておられます。

 このお話には、日本人の多くの人が同じ思いを持つのではと思いますし、その背景には、仏教の縁起の教えがあるのではと思います。

 縁起の教えとは、「すべてのものは、それ一つで存在しているものは何もなく、はかることのできない多くの因縁によって存在している」という仏教の基本思想です。

 グローブ一つにしても、元はどこかで生きていた牛でしょう。その牛が命を落として、皮職人の手によって皮となり、その皮をプロの職人がグローブに仕立てて高橋さんのもとに届けられたものです。バットも、ユニホームも、スパイクも、すべて同じです。

 高橋さんは「僕らは、野球を教わったときからグローブ、バットを大事にしなさいって教えられた」とおっしゃっていますが、その指導者の言葉の奥には、「あなたたちが今日野球ができるのは、これらの道具を買ってくださった親をはじめ、道具を作ってくださった有縁の多くの方々のお陰で野球ができることに、感謝の思いを忘れないように」という心がこめられていると思います。

 そのような環境で育った多くの日本人選手が、大リーグで活躍していることを、成績とはまた別の意味で、うれしく有り難く思うのです。

8月1日~あなたたちが今日野球ができるのは…2023年08月01日【433】

7月16日~お寺は動物たちでいっぱい

 梅雨が明けないままに、毎日暑い日が続いています。

 さて先日、お寺の奥様方の勉強会が覺照寺であり、住職の私が講師を務めさせていただきました。

 講師と言っても、仏教の難しいお話ではなく、お寺の本堂には動物たちがいっぱいというお話でした。

 本堂のお内陣は、阿弥陀如来のお浄土の世界を、私たち人間が視覚で感じられるように形で表されたもので、お経には、そのお浄土の世界には、畜生といわれる獣類や鳥、魚、虫などはいないと説かれてはいるのですが、意外や意外、動物たちでいっぱいなのです。

 本堂の正面には、前卓といって大きな机がありますが、そこには、六羽の鳥たちと水鳥がたくさんいますし、その机の両脇からは龍が目を光らせています。

 その机の上には、ローソク立てがありますが、そこには鶴や亀、なんと鬼までいるのです。

 仏さまがお立ちになっている場所を宮殿と言いますが、その下の須弥壇というところには、百獣の王・獅子が美しい牡丹の花といっしょにいます。

 またその宮殿の屋根の部分には、これまた百獣の王・獅子とお鼻の長い象さんがいるのです。

 また、虎の足の形をした机や、鳥の鷺の足をした机があったり、海にいる蛸の足の形の金具や、螺と言われる灯火を付ける金具、海老の形をした梁や蟇股といわれる部材などもあって、お寺の中は動物たちでいっぱいなのです。

 これらは、お経に基づいて、お浄土で仏さまの教えを讃える役割をしたり、仏さまを護る役割をしたりするものもありますが、仏教が伝わってきた地域の影響を受けたり、大工さんや仏具屋さんの影響を受けたりしたものもあります。

 いずれにせよ、たくさんの動物たちも仏さまの教えをよろこび、仏さまを支えてくれている存在なのです。今度お寺にお参りに行かれたらよく見てみてください。

7月16日~お寺は動物たちでいっぱい2023年07月17日【432】

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