12月1日~自分を偽らない生き方
いよいよ今年もあと一月となりました。
さて、先月下旬、ご門徒の方々と一緒に、鹿児島市の宝山ホールで行われた前進座特別講演『花こぶし 親鸞聖人と恵信尼さま』の観劇に行きました。
平安時代から鎌倉時代へ。天災や飢饉や疫病の上に戦乱の世の中、師匠である法然聖人と共に、救いを求める人々に「南無阿弥陀仏」のお念仏を広める親鸞聖人と、それを支える妻・恵信尼公の生涯を描いたものです。
物語は、比叡山で修行をする若き頃の親鸞聖人と恵信尼公との出逢いから始まり、法然聖人との出逢い、時の権力者からの弾圧、そして越後(新潟)への流罪、関東での布教、晩年の京都での生活と、前進座の役者さん方によって見事に繰り広げられていきます。
ふり返れば、鎌倉時代の比叡山では、妻帯というのは公然の秘密だったそうです。
そういう状況の中で、初めて妻帯を公にされたのが親鸞聖人と言われています。
それは、当時公には許されなかった僧侶の妻帯という行為を、自分自身の信仰体系の中で、きっちりと定着させたと言うことでありましょう。
人間は自分の行為に矛盾があるとその行為を隠します。親鸞聖人は、僧侶である自分が妻を持つという行為が、仏さまを信仰していく人生の中で、まったく矛盾がないことが確信できたから、自然に公にできたわけす。
聖人にとっては、僧侶として妻を持つか持たないかが問題ではなく、妻を持ってお念仏の生活ができるかできないかが問題で、そこには、妻帯をしてお念仏の道を歩むのが、一番自分を偽らない生き方だと確信があったのです。
その親鸞聖人のご法事・報恩講法要を今月九日・土曜日と十日・日曜日にお勤めします。
お内陣を美しくお飾りしてお勤めしますので、どうぞお誘いあわせの上、お参りください。
2023年12月01日【441】