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2月1日~怠ることなく励む
新型コロナウイルスの再びの感染拡大が、飲食や観光業を始め、医療、福祉、教育など、様々なお仕事に影響を与えています。
さて、一月二十三日、兵庫県の西福寺ご住職で、浄土真宗本願寺派の総長をはじめ、多くの役職をお勤めになり、西本願寺の宗門のみならず、社会的にも広く功績を残された豊原大成先生がお亡くなりになりました。
私自身もお仕事を通してご縁をいただき、大変お世話になりましたので、通夜・葬儀の前となりましたが、お参りに行かせていただきました。
お棺の中でお休みになった先生とお会いし、仏前でお勤めをさせていただきましたが、その後、お葬儀の準備で慌ただしい中に、跡継ぎのご住職が応対をしてくださいました。
そして、懐からスマートフォンを出して映像を見せてくださいました。そこには、先生がベッドに横たわりながら「お正信偈」をお勤めされる姿が映っていました。お亡くなりになる十日前の映像です。一つ一つのご文を、声の出る限り精いっぱい唱えられるお姿に、まことに頭の下がる思いでありました。
思い返せばお釈迦さまもそうでありました。八十歳になってから、最後の伝道の旅に出られました。年老いた身体を引きずり、古里の北に向かってガンジス河を越え、行く先々で教えを請う人々に最後の説法をしながらの旅です。
豊原先生は、京都大学大学院を修了後、インドのベナレスヒンドゥー大学に留学のご経験もあり、お釈迦さまのご事績を現地で研究された方ですので、たとえ老いた身であっても、たとえ病の中にありながらも、コツコツと怠ることなく努め励まれたお釈迦さまのお姿を範とされていたのでありましょう。
「怠ることなく励む」
先生との今生でのお別れに際し、そのお姿を通してまた大きな教えをいただきました。
お葬儀の表白には、「日夜に称名念仏怠ることなく、もってまことの人生の完成に、一歩一歩歩みをすすめんと欲す」とありました。
2月1日~怠ることなく励む | 2022年02月01日【397】
1月16日~常日頃からコツコツと…
新しい年が明けてはや半月、再びコロナ感染注意のスタートです。
お釈迦様のお話です。ある日、お釈迦様がお弟子たちに向かって問いました。 「世の中には、悪いことをした報いで死後に地獄に堕ちる人もいるが、同じ悪いことをしながら地獄に堕ちない人もいる。なぜだろうか」
問いかけられたたくさんのお弟子たちはあれこれ答えを考えますが、なかなかわかりません。
そこで、お釈迦さまがヒントを出されます。
「ここに手のひらいっぱいの塩があるが、これを茶碗の水に入れて混ぜるとどうなるだろう」
「それは塩水になります。きっと塩辛い水になるでしょう」お弟子たちは答えました。
「では、この手のひらいっぱいの塩をガンジス川に投げ込むとどうなるだろう」 「あの大きなガンジス川であれば、あっという間に溶けて何も変わることはないと思います」。お弟子たちは答えました。
「これがヒントだ。わかるだろうか」
「そうか、お釈迦様、わかりました」お弟子の一人が手を挙げました。
「きっと常日頃から善い行いをしている人は、悪い行為は許されませんが、犯してしまった少しの悪い行為では地獄に堕ちないのでありましょう。しかし、常日頃から善い行いに努めようとしない小さな茶碗のような人は、少しの悪い行為でもその罪が際だって地獄に堕ちてしまうのではないでしょうか」
「その通りだ、よくわかりましたね」お釈迦さまは大きく頷き、そのお弟子を褒めたそうです。
このお話は、常日頃から仏さまの教えをよく聞いて、善い行為をコツコツと重ねていくことの大切さを教えています。
コロナ禍で皆、我慢の日が続きます。周囲への思いやりと柔らかな心を忘れることなく日々を過ごしましょう。
(参考・仏教法話大辞典)
1月16日~常日頃からコツコツと… | 2022年01月16日【396】
1月1日~三無主義の実践を…
明けましておめでとうございます。二〇二二年、令和四年の幕開けです。
コロナ禍のお正月ではありますが、一刻も早い収束と、本年が平和で穏やかな一年であるようにと願わずにはおれません。
今年の元旦にお勤めした修正会のご流盃の盃の文字は、昭和四十八年にお正信偈を書き始めて四十八年目、「勝」という字でした。「無上殊勝の願」の一文字で、阿弥陀仏がすべての人を平等に救う最高にすぐれた本願をお建てになったことを意味しています。
さて、誰しも年を増すごとに、体はいうことをきかなくなっていきますが、浄土真宗の教えをよりどころに生涯を送られた教育者・竹下哲先生は、老いを生きることについて、三つのアドバイスをくださっています。
一つは「無理をしない」ということ。ついつい何事にも無理をしてしまう頑張り屋さん。心に少し余裕を持って、おおらかに生きることが大切です。
二つには、「無駄をしない」ということ。衣食住すべてをなるべく必要最小限度にして生活することです。セコセコするのではありません。地球上、あらゆるいのちも物質もすべてつながり支え合って存在しているからです。
三つには、「無精をしない」ということ。他人にすぐに頼るのではなく、自分でできることは、計画を立ててコツコツと努力をすることです。
竹下先生は、三無主義と言われ、堂々たる仏法の生き方だとおっしゃいます。 大切なのは、この三つの根底に仏さまの教えがあるということです。
「無理をしない」「無駄をしない」「無精をしない」三無主義。
仏さまのみ教えに耳を傾けながら、この三つの生活を実践して行かれたらどうでしょう。
今年も覺照寺心の法話を、よろしくお願いいたします。
1月1日~三無主義の実践を… | 2022年01月02日【395】