2005年9月15日
朝夕の涼しさと共に、秋のお彼岸が近づいてきました。
さて、先日、友人といっしょにベトナムに行き、ホーチミン市の戦争証跡博物館を拝観しました。
ベトナム戦争とは、1960年代初頭から1975年4月まで繰り広げられた、南ベトナムと北ベトナムとの武力衝突をいいます。しかし、戦争の実体は南ベトナムを支援したアメリカと、北ベトナムを支援したソ連、中国との政治戦略的な戦争でした。
アメリカは、ピーク時には年間54万人の軍人を派遣し、国の威信をかけてこの戦争に挑みました。
戦争の犠牲は大きく、アメリカ軍は5万8千人以上の戦死者を出しました。南北ベトナム人民に至っては、200万近い人が犠牲になったといわれます。そして、大量に空中散布された枯葉剤の後遺症が、四半世紀近くたった今でも残っています。
博物館では、アメリカ兵によるソンミ村・504人の虐殺をはじめ、ベトナム兵士の首を切り落としたり、飛行機の上から生きたまま突き落としたり、戦車で引きずり回したりと、アメリカ兵のさまざまな残虐行為の写真が所狭しと展示されていました。中には目を覆いたくなるようなものまでありました。
結果はといえば、北ベトナム側の勝利に終わり、アメリカ軍はベトナムの地から撤退を余儀なくさせられたのですが、当時のアメリカ国防長官・マクナマラ氏が、「私たちは過ちを犯してしまった。重大な過ちを。私たちは、将来の各世代に対して負債を追い続けなければならないだろう」と省みるには、あまりにも遅すぎる終戦でした。
親鸞聖人が、「人間は縁がもよおせば何をしでかすかわからない、不可解で恐ろしい存在である」と諭されましたが、まさしく戦争は人を鬼畜に変える恐ろしいものだと改めて感ずることでした。
「重大な過ち」と覚ったならば、その過ちを二度と繰り返さない智慧が人間にはあるはずです。その智慧をお念仏の教えに問いたずねていきたいと、あらためて思う旅となりました。
2005年09月15日【9】