10月1日~すまない心が ぐいぐいと…
稔りの秋、食欲の秋となりました。
さて、先日のニュースで、今年はお米不足が心配されていましたが、食卓にはおいしい新米が届くでしょうか。
僧侶で、教育者として高名な故・東井義雄先生が著書の中で、「おべんとう」について、生徒の輝雄君の詩を紹介されています。
けさ 学校に来がけに ちょっとしたことから母と言いあいをした
ぼくは どうにでもなれと思って 母をぼろくそに言い負かしてやった
母が困っていた
そしたら 学校で 昼になって 母の入れてくれた弁当の蓋をあけたら
ぼくのすきなかつおぶしが パラパラと ふってあった
おいしそうに におっていた
それを見たら ぼくは けさのことが思い出されて 後悔した
母は いまごろ さびしい心で 昼ご飯を食べているだろうかと思うと
すまない心が ぐいぐい こみあげてきた
今はすべての学校が給食なので、きっと学校給食が整ってない時代のことでありましょう。
東井先生は、学校で、弁当の蓋をあけるときの、何とも言えない楽しそうな子どもの顔、蓋の横から何が入っているかのぞきこむようにして、やおら蓋をあける子どもの様子、好きなおかずが入っていたときの輝くような子どもの顔を見ながら、お弁当の時というのは、お母さんとの出会いの時だと思うようになったとおっしゃっています。
お母さんをぼろくそに言い負かして得意になっている輝雄君のために、さみしい気持ちになりながらも、輝雄君のために大好きなかつお節を振りかけてやらずにはおれないお母さん。
輝雄君はそのお弁当を通して、その場にはいないお母さんと出会っています。 稔りの秋、手作りのお弁当をいただきたくなりました。
2024年10月03日【461】