5月1日~人として大切にしたいもの
風薫るさわやかな季節になりました。
さて、昨今、多くの親族が集まって行うご法事というものが、次第に減りつつあるように感じます。
ここ数年続いた新型コロナの影響も大きいでしょうが、別の原因の一つとして、考えられるのが核家族でありましょう。
親子二世代、三世代が、共に生活をする家庭は今や珍しくなりました。またそのことは、家の形にも影響を与え、身近なところでも洋風の家が多くなり、それと同時に、仏間として活用されてきた和室が家庭から消えつつあります。
仏間という場所は、日々の生活において、仏様へ報恩感謝の思いを伝えるために必要不可々な場でありました。朝夕のお参りはもとより、頂き物をしたらまず仏様にお供えしてからいただく、家族間での大切なお話は仏間で身を正して聞くなど、そこには仏様を中心にした家庭生活がありました。
しかしながら、家族形態や家の形の変化につれて、共に暮らすことで親から子へ、子から孫へと自然と受け継がれてきた、人として大切にしたい事柄が、今や伝わりづらくなっています。先に述べたご法事もその一つでありましょう。
私たち人間は、自分の身に何かが起きなければ、普段の生活の有難さには気が付かない生き物です。大切な方を失ったときや、病を患ったときに初めて、当たり前の生活かそうではなかったことに気づかされます。
仏様に手を合わせるとは、私たちの日常の生き方を見つめ直す、尊い時間であります。またご法事は、ご先祖の命日を通して、仏様のみ教えを聴かせていただく大切な時間であります。
家族形態や家の形が変わろうとも、縁ある方々が集まって仏様へ手を合わせるご縁を大切にしたいものです
2024年05月01日【451】