11月1日~人が少なくなったな~
短い秋も終盤に、虫の声もすっかり聞こえなくなりました。
さて先日、ご門徒のTさんのお宅にご法事に出向きました。お母さまの満中陰のご法要です。
いつもの通り『仏説阿弥陀経』をお勤めして、ご法話の後、会食に移りました。
すると八畳二間の会場のどこからか、「人が少なくなったな~」と声がしました。Tさんのご両親はきょうだいが多く、以前より法事となると親だけでなく、子や孫まで部屋に入らないほどたくさんの方々が集まっておられました。
次第にきょうだいも少なくなり、子どもたちは都市部に住み、しかも平日のご法事でしたので孫はおらず、先ほどの声は、昔のご法事の人数に比べると少なくなったことを言われたのです。
すると、会場のどこからかすぐさま「みんなお浄土に参ったからな~」と声が帰ってきました。
その声には、人は少なくなって寂しくはなったけど、寂しさだけではないあたたかさがありました。きっとそれは再び会える約束があるからです。
また私は、ご法話で「お念仏をいただくことの大切さ」をお話ししたのですが、それに応えるように「昔じいさんたちが、『朝起きたら南無阿弥陀仏、夕べにも南無阿弥陀仏・お念仏を大切にせえよ』と、しょっちゅう言うてたことを思い出したな~」との声が帰ってきました。
その声には、しみじみとした懐かしさとぬくもりがありました。きっとそこには、確かな教えがあるからです。
『朝起きたら南無阿弥陀仏、夕べにも南無阿弥陀仏』とは、「あなたのいのちの帰すべきところは、真実のはたらきである阿弥陀如来ですよ」ということです。
いのちの帰すべきところだからしょっちゅう言うのであり、だからお念仏は大切なのです。
まことに有り難いご法事のご縁でありました。
2023年10月31日【439】