2005年12月15日
今年もあと半月になりました。
さて先日、お寺にお参りに来られた男性が、「私は、いよいよ来年が本厄で何もかも気をつけなきゃ。お寺でも厄払いをしてもらえるのですか?」と、聞かれました。
私は、「お寺よりもまず病院に行って、普段できない精密検査をしてもらった方がいいですよ」と答えました。私自身、四十過ぎに初めて行った人間ドックで大腸ガンの早期発見があり、その経験に基づくものです。
厄年は平安時代からあったようで、後世になって男性は二十五,四十二,六十十歳,女性は十九,三十三歳となりました。その前年を前厄、その年を本厄、翌年を後厄といい、特に男性四十二歳、女性三十三歳を大厄というようになりました。それは、四十二歳は数字の四と二で死に(シニ)、三十三歳は数字の三と三で散々(サンザン)、ということで忌み嫌われたといわれます。根拠もなく他愛のない語呂合わせですから、あまり気にする必要はありません。
ただ、三十過ぎ、四十過ぎ、六十過ぎは身体的にひとつの節目、家庭や仕事、社会的にも大きな負担がのしかかる時ですから、普段よりもいっそう気をつけて身を慎むよう、昔の方の戒めかもしれません。
数年前、ご門徒のMさんが、「六十歳になったので…」とお寺にお参りに来られました。「厄払いかな?」と思い応対しましたが、Mさんはこうおっしゃいました。「私は今年で定年です。これまで長い間会社に勤めましたが、中には仕事が厳しくて続かず辞めた同僚もいます。病気や事故で亡くなった同僚もいます。そういう中で、私がこの年まで仕事ができ生きてこれたのも、この同僚を初め皆さんのおかげです。だから感謝の思いで仏さまにお参りに来たのです」。
私はこの言葉に頭が下がる思いでした。そしてMさんと一緒に感謝のお勤めをしました。根拠のないものを恐れて払うより、「おかげさま」と感謝の心で力強く生きる。とてもすばらしいことではないでしょうか。一年の暮れ、感謝の思いで過ごしたいと思います。皆さま良いお年をお迎えください。
なお、次回は二〇〇六年元旦にお話が変わります。また、覚照寺では元旦の朝八時から新年最初のお勤め・修正会を勤めます。ぜひお参りください。
2005年12月15日【3】