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12月16日~人間の心の奥底を見抜いて…
先日、屋外の手洗い場に初氷が張っていました。いよいよ冬本番です。
さて、お寺では先般、報恩講法要をお勤めしました。
報恩講法要は、浄土真宗の教えを開かれた親鸞聖人のご法事ですが、親鸞聖人は阿弥陀仏のお救いを私たちにお勧めくださった方です。
阿弥陀仏のお救いの一番の特徴は無条件の救いということです。たくさん修行をしたとかしていないとか、たくさん勉強したとかしていないとか、たくさん善いことをしたとかしていないとか、阿弥陀さまのお救いには、そのようなモノサシはないということです。
また、阿弥陀さまは対価も求められません。お寺やお坊さんにたくさんのお布施をしなさいともいわれません。救ってやるからお礼を言いなさいとか、代償をを求めることもされません。
お歳暮の季節ですが、人間はどうでしょうか。こちらが五千円の贈り物をしたならば、相手からそれ相応の贈り物が来ないとなんとなく心地よくないものです。
もし大金の入った財布を拾って警察に届けて、無事本人に財布が届けられたなら、わずかばかりでもお礼を求める気持ちが湧くかもしれません。
人間の心の中は、つねに自分中心に、しかも限られた範囲でしか動きません。
阿弥陀さまのお心は大慈悲です。そのように我執に縛られた人間の心の奥底を見抜いて、大きな慈しみの心で、私たちを無条件に、分け隔てなく救わんとする大いなる願いを持ったお方が阿弥陀仏という仏さまです。
報恩講は、その教えを私たちに勧めてくださった親鸞さまに感謝すると共に、私に振り向けられた阿弥陀仏の大慈悲のお心をいただくご法要です。
今年も覺照寺こころの電話をお聞きくださり有り難うございました。
覺照寺では、令和三年一月一日元旦の朝八時より、新年最初のお勤め・修正会をお勤めいたします。どうぞお参りください。
12月16日~人間の心の奥底を見抜いて… | 2020年12月17日【370】
12月1日~自分も他人も幸せにできるポイント
新型コロナウイルスの感染がふたたび拡大しています。一人ひとりが関せ員防止に努めることが大切です。
さて、先日NHKの深夜ラジオを聞いていましたら、全日空のキャビンアテンダントとして定年退職まで四十五年間お勤めになり、多くの後輩を育てられた大宅邦子さんが、そのお仕事の内容や人生を振り返る対談番組がありました。
日頃から飛行機はよく利用しますので、興味深く聞かせていただきました。
その中で、大宅さんが長年、キャビンアテンダントとして心がけてこられたポイントを紹介されました。
一つには、いつも次の人のことを考えて仕事をするということです。多くのCAが一つの飛行機を仕事場として代わる代わる勤めるわけですが、その場所や物を、常に次の人が使うことを忘れず、美しく掃除をしてから引き継ぐことの大切さです。
二つには、素敵を見つけて伝えるということです。相手の美しいこと、素敵なこと、すばらしいことを見つけたら、言葉にして伝えるということです。大切なことはその時を逃さないことと、大宅さんはおっしゃいます。
三つには、欲しいものではなく必要な物を買うということです。国際線のCAさんは世界中を飛び回るわけですが、ともするとあれがほしいこれがほしいと買い物をして後で、無駄になることも多々あるそうです。ですから本当に必要な物を求めることが大切とおっしゃいます。
四つには、経験はかさばらないということです。美術館で作品を見る。自ら進んで多くの経験することは自分自身に多くの学びをもたらしてくれます。
五つには、好奇心の翼を広げなさいということです。
お話を聞きながら、これらは空の上でお仕事をするCAさんだけでなく、私たち一人ひとりにも通じることで、そんなにお金もいらない、誰でも心がけ一つ、工夫一つでできること。そして自分自身も、自分の周囲の方々も幸せにできるポイントです。皆さん、参考にしてみてはいかがでしょうか。
12月1日~自分も他人も幸せにできるポイント | 2020年12月17日【369】
11月16日~いのちの原点に立ち返る
十一月も半ばですが、小春風が吹く穏やかな日々が続いています。
さて先般、アメリカの大統領選が行われ、バイデンさんはほぼ勝利を確実にした形ですが、トランプさんはそれをなかなか認めようとせず、政権移行も行われない状況です。
トランプさんが「アメリカファースト」を掲げ大統領を務めたこの四年、人々は眉間にしわを寄せ、分断と対立の文字が躍り、民主主義象徴の国であったアメリカが世界から信頼を失ってしまった感は否めません。
以前にも紹介したお浄土にいる鳥のお話をあらためて思い出します。
阿弥陀さまのお浄土の世界には、色とりどりのたくさんの鳥たちがいて、常に阿弥陀さまの功徳を優雅な鳴き声で讃えているそうです。
その中に「共命之鳥」という、胴体は一つなのですが、頭が二つあって、鳴き声がとても美しい鳥がいるそうです。ぐみょうとは共に命を持つ鳥と書きます。 この鳥がお浄土に生まれる前の話です。この鳥は毎日、とても仲がよかったのですが、ある日森の中で、いったいどちらの方が鳴き声が美しいかが話題になりました。
二つの頭を持った鳥は互いに、「オレの方が一番だ」、「いやオレの方が美しい声を持っている」と言い争いを始め、同じ体を持ちながらも、その争いはお互いを憎しみ合うまで増幅していきました。
そして遂に片方が、「あいつがいなくなれば、オレは一番・ファーストになれる」と餌に毒を混ぜて食べさせました。
食べた片方は苦しみながら死んでいきますが、間もなく毒を盛った片方も苦しみの中で命を果てます。当然です。胴体は一つなのですから…。
このお話は、目には見えない縁によってお互いに生かし生かされている私たちが、「自らの立場だけを考えて他を滅ぼすことは、やがて自らをも滅ぼすことになる」ことを教えています。
バイデンさんには国際協調に力を注いでほしいと思いますが、トランプさん蒔いた種は根強く残ることでしょう。
今一度、生かし生かされている私たちが、いのちの原点に立ち返る必要がありそうです。
11月16日~いのちの原点に立ち返る | 2020年11月17日【368】