1月16日~そうせずにはおれない気持ち
厳冬の夜空は澄み切って、満天の星に寒さも忘れてしまいます。
さて毎日、早朝からNHKのラジオを聞いていると、全国のリスナーからたくさんのお便りが寄せられます。
早朝という時間帯からか、中年から高齢者のものが多く、楽しい便り、嬉しい便りもありますが、悩みや苦しみを伝えるものも多くあります。
自分自身の病に苦しむ方、伴侶に先立たれた孤独に悩む方、高齢の親の介護に苦しむ方、仕事場の人間関係に悩む方、子育てに悩む方など、ラジオを聞いていると、多くの方々が様々な悩みや苦しみを抱えながら生活されていることが窺えます。
また、このラジオを聞いていてすばらしいなと感じるのは、寄せられるそれぞれの悩みや苦しみに対して、過去に同じような辛い経験をした方、苦労をした方、多くの涙を流した方から、その悩み苦しみに共感し励ますお便りが届くことです。
ラジオを通してとはいえども、会ったことも話したこともないどこかの誰かに便りを出したり、励ましたりすることは、そうできることではありません。きっとその人には、そうせずにはおれない気持ちが働いているのでありましょう。
またラジオを聞いていると、その人の以前の経験からの、様々なアドバイスも参考になっているようですが、どちらかというと、似たような辛い経験をした人、同じような悩みをかかえた人が、親身に寄り添ってくれることが相手の安らぎにつながり、あるいは勇気を与えることにつながっているようです。
浄土真宗の仏さま・阿弥陀如来は慈悲の仏さまとも言われます。慈悲とは、すべての人びとに対し、わけへだてなく苦しみを抜き、まことの楽を与えたいという仏さまの心のことです。しかしそのためには、まず悩み苦しむ人の心に親身に寄り添うことが何よりも大切でありましょう。
ささやかでも、身近なところで、その心に学ぶ姿勢を大切にしたいものです。
2019年01月16日【327】